2011年度税制改正(12月2日公布分)において、国税通則法の税務調査手続等関係が改正されました。  これは、税務調査手続きの透明性や納税者の予見可能性を高める観点から、事前通知、是認通知、調査結果の説明、再調査、納税者等から提出された物件の留置き、帳簿書類等の提示・提出及び処分の理由附記等について法定化されました。
それによりますと、「事前通知」では、国税庁等の職員が納税者に対する実地の調査(納税者の事業所、事務所等に臨場して質問検査権を行使する調査)を実施する場合には、納税者や税務代理権限証書を提出している税理士、税理士法人、通知弁護士に対し、調査開始日時、調査開始場所、調査の目的、調査対象税目、調査対象となる期間、調査対象となる帳簿書類その他の物件、その他政令で定める事項をあらかじめ通知することとされました。  その他政令で定める事項は、調査の相手方である納税者の氏名・住所、調査担当者の氏名・所属官署等となります。  また、併せて事前通知を要しない場合に該当する事由等についても法定化されました。事前通知を要しない場合に該当する事由等に関しては、2011年度税制改正大綱で「事前通知を行わない場合の具体例を通達で記載する」とされており、施行日(2013年1月1日)までに通達を出すとみられております。
(後編へつづく)
(注意)  上記の記載内容は、平成24年4月23日現在の情報に基づいて記載しております。  今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

◆財務副大臣の発言から  予算委員会で、財務副大臣が「所得再分配機能をどう取り戻すかが重要課題」とし、 ①所得税・相続税の最高税率を上げる ②富裕税という考え方もある ③マチマチな税率構造を見直す と施策案を挙げていました。  ①は今、審議中の一体改革案の中ですでに上程されています。  ②と③は、多分、財務省が腹案として、すでに準備しているものなのでしょう。
◆富裕税をめぐる国際状況  現在、富裕税が施行されている国は、フランス、スイス、オランダ、ノルウェー、インドなどですが、過去、富裕税を施行させた経験のある国は日本を始め沢山あります。最近、ポルトガルが富裕税を復活させたというニュースがありました。  いずれも税率は、0.2パーセントから3パーセントといった低率で所得税の補完税としての役割を持たされています。
◆日本の富裕税導入と廃止の歴史  日本では、昭和22年(1947)に所得税の最高税率は85%になり、昭和24年(1949)のシャウプ勧告は、このように高い税率は勤労意欲にマイナスであるとして、所得税の最高税率を下げ、その補完税として富裕税を導入するように勧告しました。その結果、昭和25年(1950)に所得税の最高税率が55%に抑えられ、同時に0.5~3%の累進税率で富裕税が導入されました。  しかし、富裕税は税収総額が多くなく、資産の包括的把握に税務執行上の困難を来たしたため、昭和28年(1953)に廃止され、代わりに所得税の最高税率が65%に上げ直されました。  国外財産調書制度創設につづき、財産債務明細書の制度強化が図られるとすると、日本でも富裕税の復活かもしれません。
◆税率構造多段階化という増税テクニック  所得税や相続税の税率に3%、5%、10%刻みのところがあるので、刻み幅を統一する、という名目による案もありそうです。  もし税率を1%刻みにしたら、10%税率の人の中には19%、20%税率の人の中には29%の税率になる人が出てきます。  最高税率のこれ以上のアップは国際比較の上からして困難そうですが、税収の増加策としての税率構造の多段階化は極めて有効です。

◆増え続けるパワハラ相談件数  平成24年1月に厚生労働省は「職場のいじめ、嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告書」を発表しました。この事は企業の82%が重要な対策問題である(H17年中央労働災害防止協会調べ)としているものの労働局に寄せられたいじめや嫌がらせに関する相談が8年で6倍に増加している事が背景にあります。
◆厚労省報告書のパワーハラスメントの定義  「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係等の職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的、身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」とされています。ここで言っている優位性とは職場における役職の上下関係の事ではなく、当人の作業環境における立場や能力を指しています。ですから部下が上司に対して、又、同僚間に対してもパワハラはあり得るという事です。  具体的な行為としては ①身体的攻撃、②精神的攻撃、③人間関係の切り離し、④過大な要求、⑤過小な要求、⑥個の侵害等となりますが問題点は個別のケースを良く調べる必要があることです。パワハラ問題で難しいのはどこからどこまでの範囲の行動がパワハラなのかわかりにくく最初は適切な指導や助言であったものが時間と共にエスカレートしてしまうこともあるからです。
◆職場内で問題を解決するには  先の報告書では予防策として ①経営トップのメッセージ、②ルール決め、③実態把握、④教育する、⑤周知する さらに解決策として①相談の場の設置、②再発防止策等が挙げられています。  一昔前まではパワハラのような事はどこの職場にもありそうな光景であったかもしれませんが職場環境の変化により仕事のストレスが大きくなって来ていると言えるのかもしれません。仕事熱心である上司がパワハラを指摘されたり、部下が職場不適応でメンタルに問題が生じたりする事も見受けられます。このような問題を解決するには互いのコミュニケーションギャップを埋める為の第3者が入って相談できる場が必要でしょう。苦情処理委員会等と言わないまでも人事部や上司が相談相手になれる体制も有効です。積極的な予防策は活力ある職場には必要な事でしょう。
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(「農業ビジネスに商機を見出そう その1」より続く)

最近、新規事業として農業ビジネスに参入する企業が増えています。農水省による行政スタンスの変更等を受け、他産業からの参入が以前に比べしやすくなっていることが後押ししているようです。では、具体的にどのような農業ビジネスが展開されているのでしょうか。
イトーヨーカ堂は、2008年8月に、千葉県富里市に地元JA、生産者と共同出資で「株式会社セブンファーム富里」を設立しました。生産にあたっては、イトーヨーカ堂の店舗から排出される食品循環資源(食品残渣)を原料に含む堆肥を使用し、出荷される商品は全てイトーヨーカ堂で販売されています。
住友商事は、2010年11月に鹿児島県の農業生産法人に出資しています。この農業生産法人の戦略の1つに畜種農家の堆肥利用による循環型農業への取り組みがあります。休耕地を借り上げ、畜産農家等から家畜の糞や尿をもらい、それをもとに野菜を栽培する仕組みを確立しています。(日本経済団体連合会「農林漁業等の活性化に向けた取り組みに関する事例集」2011年3月より)
その他、トヨタ自動車、JR東海、双日、セコムなども農業に進出しています。
新規ビジネスとして参入している企業においては、契約栽培などによって独自の直販ルートを持つ等の対応をしているところが多く見受けられます。このような対応を行うことで、値崩れのリスクを抑えられるだけでなく、毎年の売上高が予測でき、計画的な設備投資や研究開発投資が可能になるためです。新たな商機として農業に注目してみてはどうでしょうか。(了)
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

TPP加盟に関しては、日本の農業を守るために加盟について慎重な意見がありますが、ここでは日本の農業を守るというスタンスではなく、新しい産業としてのビジネスの可能性について考えてみたいと思います。

日本の農業は衰退傾向にあります。耕作放棄地は増え続け、農業従事者の人口は減り続け、従業者は高齢化が進んでいます。しかも農作物(穀物を含む)の輸入超過は5兆円規模に膨らんでいる状況です。
しかし、逆にいえば、輸出国に対抗できる農業ビジネスが確立すれば、数兆円のビジネスが掘り起こされる可能性があると見ることもできるでしょう。産業化してコストを下げた高品質の国産農作物なら、輸送費のかかっている輸入品と十分に戦えるはずです。
しかも農業は、観光や教育、医療といった他産業と協力することで、新たなビジネスを創出できる絶好のポジションにいるのです。たとえば、サービス分野を例にとれば、団塊の世代や若年ファミリー層に人気の市民農園や貸し農園が有力です。定着率の低さが課題となっていますが、農業サポーターを配置するなど、サポート体制を充実させていけばアグリビジネスの産業化を後押しする有望市場へと成長していく可能性があります。
また、インターネット販売や宅配などによる産直市場も伸びが顕著となっています。インターネット上で、大きさが不ぞろいの規格外の農産物や包装ラベルのミスによって出荷できなかった農産物などを取り扱う、いわゆる“わけあり市場”がブームとなっています。これは、供給者サイドの常識と消費者ニーズとの“ズレ”に商機を見いだした最たる例といえます。(つづく)
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

財務省

 財務省は、2011年度の実績見込み40.1%だった国民負担率(※)が、2012年度予算では0.2ポイント微減の39.9%となる見通しを発表しました。  2012年度見通しの内訳は、国税が13.0%、地方税が9.8%で租税負担率が22.7%、社会保障負担率は17.1%となっております。
2011年度実績見込みに比べますと、租税負担率は0.2ポイント減(国税は同水準、地方税は0.1ポイント減)、社会保障負担率は0.1ポイント減となっております。  増え続けていた社会保障負担は、この統計を開始した1970年以降では最高を記録した2011年度と比べますと、わずかに低下しました。  また、国民負担率を諸外国(2009年実績)と比べた場合、アメリカ(30.3%)よりは高いものの、スウェーデン(62.5%)、フランス(60.1%)、ドイツ(53.2%)、イギリス(45.8%)などよりは低くなっております。
※国民負担率とは  国民所得に対する税金や社会保険料(年金・医療費などの保険料)の負担割合
(注意)  上記の記載内容は、平成24年4月18日現在の情報に基づいて記載しております。  今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

国内企業の国際競争力の強化と外資系企業の立地を促進するとともに、雇用と国内投資を拡大する観点から、法人税の基本税率が25.5%(改正前30%)に引き下げられ、中小法人の軽減税率についても15%(改正前18%)に引き下げられます。
2012年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税から適用予定でしたが、東日本大震災の復興財源を確保するための復興特別法人税による10%上乗せが、2012年4月1日から2015年3月31日までの間に開始する事業年度適用となるため、普通法人の基本税率は28.05%(=25.5%+25.5%×10%)に、中小法人の軽減税率適用分は16.5%(=15%+15%×10%)となります。   例えば東京都の法人実効税率は、 ①2011年11月改正前については、「<30%×(1+20.7%)+7.56%>÷(1+7.56%)」=40.69% ②2011年11月改正後においては、「<25.5%×(1+20.7%)+7.56%>÷(1+7.56%)」=35.64% ③復興特別法人税の課税期間においては、「<28.05%×(1+20.7%)+7.56%>÷(1+7.56%)」=38.01% となりますので、ご確認ください。
(注意)  上記の記載内容は、平成24年4月23日現在の情報に基づいて記載しております。  今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編からのつづき)
また、この適用を受けるためには、その対象となる棚卸資産の明細を記載した書類をその作成した日の属する課税期間の末日の翌日から2ヵ月を経過した日から、7年間保存しなければなりません。  これとは逆に、課税事業者が免税事業者になる場合は、免税事業者となる日の前日において所有する棚卸資産のうちに、課税事業者であった期間において仕入れた棚卸資産がある場合は、その棚卸資産に係る消費税額を免税事業者になる直前の課税期間の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額から控除します。
課税事業者が翌課税期間に免税事業者となる場合に、期末棚卸資産に係る仕入税額控除の調整を行っていないケースが見受けられます。  免税事業者となる課税期間の直前の課税期間における期末棚卸資産(その直前の課税期間中に課税仕入れ等を行ったものに限る)に係る消費税額については、その直前の課税期間における課税仕入れ等の税額から控除します。  ただし、その直前の課税期間に簡易課税制度の適用を受ける事業者は、この調整を行う必要はありませんので、該当されます方は、ご注意ください。
(注意)  上記の記載内容は、平成24年4月18日現在の情報に基づいて記載しております。  今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

免税事業者が新たに課税事業者となる場合には、消費税額の調整を行います。  課税事業者となる日の前日において所有する棚卸資産のうちに、納税義務が免除されていた期間に仕入れた棚卸資産がある場合は、その棚卸資産に係る消費税額を課税事業者になった課税期間の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入れ等の税額とみなして仕入税額控除の対象とします。  なお、この対象となる棚卸資産は、商品、製品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵中の消耗品等で、現に所有しているものをいいます。
直前の課税期間まで免税事業者であったものの、期首棚卸資産に係る仕入控除税額の調整を行っていないケースが見受けられます。  免税事業者が課税事業者となる場合、課税事業者となる課税期間の直前の課税期間における期末棚卸資産(免税事業者であった課税期間中に課税仕入れ等を行ったものに限る)に係る消費税額については、課税事業者となる課税期間における課税仕入れ等の税額に加算する必要がありますので、該当されます方は、ご注意ください。
(後編へつづく)
(注意)  上記の記載内容は、平成24年4月18日現在の情報に基づいて記載しております。  今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

◆期限切れ欠損金とは  期限切れ欠損金は、法令上の用語でなく造語ですが、平成22年度税制改正で確実にその市民権を得ました。  この期限切れ欠損金は、清算事業年度の課税方式が「損益法」に改められたことにより、債務超過法人に青色欠損金を上回る債務免除益が生じ、担税力のない課税所得が発生してしまうことを回避する目的で、一定の条件下で清算事業年度において損金算入を認めるものです。  期限切れ欠損金の内容・範囲ですが、「過去の青色欠損金」、すなわち、所得から控除できる期限を経過(失効)してしまった欠損金(平成23年度税制改正で現行7年から9年に延長)ではないか、と思われがちですが、そうではありません。社外流出・損金不算入である「交際費」や「寄附金」もこの期限切れ欠損金に含まれています。
◆法令上の期限切れ欠損金  欠損金については、法人税法で「損金の額が益金の額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう」と定義しています。  そして、益金及び損金の額については、法人税法で「別段の定めがあるものを除き、公正な会計基準にしたがって計算されるもの」と定めています。  期限切れ欠損金は、これら定義からすると、青色欠損金の内、控除期限を経過した欠損金から成るものと理解されます。
◆通達における期限切れ欠損金  しかし、通達における期限切れ欠損金は、①「期首現在利益積立金の合計額として記載されるべき金額で、当該金額が負である場合の当該金額」- ②「青色欠損金等の額のうち損金の額に算入される金額」と規定しています。いわゆる、①は法人税の申告書別表5(1)「31」①欄の金額、②は法人税申告書別表7(1)「2の計」欄の金額ということになります。  この通達の規定では、期限切れ欠損金には、社外流出・損金不算入である「交際費」や「寄附金」をも含んでいます。
◆何故、通達の規定なのか  一つには、過年度の期限を経過(失効)した青色欠損金を補足することは困難であること、もう一つは、損金に、別段の定めにより社外流出・損金不算入となる「交際費」や「寄附金」を含めても、納税者にとって損金算入の額が拡大し不利益にはならない、さらには課税実務の簡便、ということなのでしょうか。